結婚式を控えたアイちゃんとサムくんが結婚式の準備をする中で出てくる「音楽の著作権」の疑問を、弁理士の城田先生がわかりやすく解説します。

No.012式場によって音楽を使うときの案内が違うのはどうして?

2018年10月26日
結婚式の音楽著作権 式場によって音楽を使うときの案内が違うのはどうして?
  • 音楽を流すのに、ある式場では「CDを持ち込めば手続きなしで流せる」と言われ、別の式場では「手続きが必要」と案内されたんですね。

  • はい。けっきょく手続きは必要なんですか?
  • 結婚式や披露宴で音楽を流すときはCDを持ち込む場合であっても手続きが必要ですが、ふたりが行うことは原則ありません。
  • どういうことですか?詳しくおしえてください!
  • わかりました!まず、結婚式場で音楽を流すためには『演奏権』という権利の手続きを行わなくてはならないことは勉強しましたね。
  • はい、以前おしえていただきました!
  • プランナーさんから「CDを持ち込めば音楽を流せる」と案内されていましたが、それは式場側で手続きを行っているから流せるんです。
  • そうだったんですね!
  • はい。結婚式場では館内のBGM利用を含め、営業時間中ずっと音楽を流していることが多いので、結婚式や披露宴ごとに手続きを行うのではなく、その施設で音楽を流すこと自体を包括してJASRACなどの著作権団体に手続きしています。
  • なるほど!
  • そのため、原則として新郎新婦が自分でJASRACなどに個別に手続きをする必要はありません。
  • わかりました!
  • ちなみに、式場が行う手続きにはCDを流すほか生演奏も含まれますので、ふたりが手続きしなくても問題ありません。しかし、普段結婚式などには使わない会場では手続きがされていないケースもありますので、事前に会場側へ確認しておきましょう。
  • はい!今回はCDを流そうと思うんですが、CDはどれを流しても大丈夫ですか?
  • いいえ、式場が演奏権の手続きをしているとしても、何でも流せるとは限りません。
  • そうなんですか??
  • 市販されているCDをそのまま流すのであれば式場が手続きをしているので問題ありませんが、自分で流したい曲をまとめて作ったCDを流す場合は、著作権と著作隣接権の『複製』について別に手続きが必要なので、手続きされていないCDは流せません。
  • これも以前おしえていただきましたね。
  • はい。こちらは演奏権のように包括的な手続きはできないので、利用ごとに権利者へ手続きをする必要があります。
  • そうなんですね。
  • アイちゃんとサムくんが行った別の式場では、当日流す音楽を1枚のCDにまとめて流すという運用にしているため、許可が下りている楽曲をリストアップしたものから選ぶように指定していたのかもしれませんね。
  • なるほど!複製の手続きも式場がしてくれるんですか?
  • 基本的には式場がまとめて確認や手続きをしていますが、運用によっては自分で行わなければいけないこともあるでしょう。
  • わかりました。式場でしてくれるか確認します!
  • このように音楽の使い方で必要な手続きは様々ですが、手続きされているものは原則として流すことができます。しかし、式場ごとにそれぞれの運用があるので相談しながら進めていくことが大事ですね。
  • はい!先生、今回もありがとうございました!

今回のまとめ

結婚式や披露宴でCDを流す際は演奏権の手続きが必要です。会場が手続きしている場合は市販CDなら流すことが可能ですが、1枚のCDに音楽をまとめている場合は複製の手続きも必要になるため、手続きは会場に確認しましょう。