No.007結婚式で流した自作ムービーを動画サイトにアップしても大丈夫?
2017年7月31日-
著作権の手続きをしているのに、なんでそのままアップしちゃいけないんですか?
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それは、ムービーをインターネットにアップロードするための手続きをしていないからです。
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えっ、でもプロフィールムービーを作る前に著作権の手続きはしましたよ??
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サムくんが手続きを済ませているのは、プロフィールムービーを作るためにCD音源を複製(コピー)する権利「複製権」の手続きだけなのです。
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「複製権」の手続きだけじゃ、動画サイトにアップできないんですか?
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そうなんです。動画サイトにアップするためには「送信可能化権」※1の手続きが必要です!
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そうしんかのうかけん??
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動画サイトに限らず、インターネット上に著作物をアップロードするには、この「送信可能化権」が関わってきます。
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そうだったんですね。じゃあ、自作したプロフィールムービーを結婚式で流して、動画サイトにアップするためにはどういう手続きをしたらいいんでしょう?
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複製権について手続きをしたら、楽曲をコピーしてDVDに焼くことができるんですね!
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そうです!次に、結婚式当日プロフィールムービーを上映するために、その楽曲の「演奏権」(著作権のみ)について、式場へ確認しましょう。
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演奏権は式場がすでに手続きをしている場合があるから、まず式場へ確認するんでしたね!
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そして、そのプロフィールムービーを動画サイトにアップロードするには、著作権と著作隣接権のそれぞれについて「送信可能化権」の手続きをしましょう。
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なるほど!だんだん分かってきました!
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「送信可能化権」はどこへ手続きをしたらいいんですか?
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著作権は著作権管理団体(JASRAC、NexTone)に手続きをし、著作隣接権はレコード会社等の権利者から使用許可を得ることが原則です。著作権は手続きが不要な場合があるので、詳しくはこちら※2で確認しましょう。
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そうなんですね。あとで確認してみよう!
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ここで注意が必要なのは、著作権の手続きが不要な場合でも、著作隣接権は手続きがあるということです。
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著作権と著作隣接権は、まったく別の権利なんですよね。
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そうなんです。著作隣接権は、著作権のように管理団体がありませんので、判断は各レコード会社等に委ねられています。
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じゃあ、それぞれのレコード会社に手続きをして使用許可をもらえれば、動画サイトにアップできるんですね!
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はい!しかし、使用許可はなかなか下りづらいのが現状です。
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えっ!どうしてですか??
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コピーは手続き時に制作枚数を申告しますので把握できますが、インターネットへのアップロードは、無限の拡散が可能というインターネットの特性から、権利者としては躊躇せざるを得ない場合が多いからです。
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ネットの拡散力ってすごいもんね…。
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また、動画の内容が作詞家や作曲家、アーティストがその曲に込めた考えと必ずしも一致するわけではありません。不特定多数が見る動画サイトでの公開は、意図しないイメージを植え付けてしまうことも想定されます。
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著作隣接権は、いろんな理由で許可が下りづらいんですね。
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そうなんです。著作隣接権の手続きは少しハードルが高いかもしれませんが、CD音源を許可なくアップロードすることは著作権と著作隣接権の侵害となります。
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結婚した二人の幸せなムービーだから、ちゃんと手続きしなきゃね!
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良い心がけです!ということで、個人、事業者を問わず、CD音源を使ったムービーを動画サイトにアップロードする時にはきちんと手続きをしましょう。
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わかりました!先生、今回もありがとうございました!
今回のまとめ
CD音源を使ったムービーを動画サイトへアップするには、著作権と著作隣接権の「送信可能化権」について手続きが必要です。ムービーを作るときに必要な「複製権」の手続きだけではアップできませんので注意してくださいね。
※1 著作権解説集《文化庁ホームページ》https://pf.bunka.go.jp/chosaku/chosakuken/h22_manga/comment/list_ka.html#koushu
※2 動画投稿(共有)サイトでの音楽利用《JASRACホームページ》http://www.jasrac.or.jp/info/network/pickup/movie.html