結婚式を控えたアイちゃんとサムくんが結婚式の準備をする中で出てくる「音楽の著作権」の疑問を、弁理士の城田先生がわかりやすく解説します。

No.005披露宴の余興を頼まれたけど、生演奏しても著作権は大丈夫?

2017年3月8日
結婚式で思い出のCDをかけたいけど著作権だいじょうぶ?
  • 今回は披露宴で生演奏を頼まれたんですね。では、どんな点に気を付ければよいのか一緒に考えてみましょう。
  • はい!よろしくお願いします!
  • 結婚式や披露宴で楽曲を演奏するときには「演奏権」の手続きをする必要があります。
  • 演奏をするから「演奏権」。分かりやすいですね!
  • アイちゃんは「クラシック曲」で、サムくんは「流行りの曲」を演奏しようとしているんでしたね。
  • そうなんです。
  • どちらも音楽の著作物という点では何も変わらないようにも思えますが、実はこの二つの曲には大きな違いがあります。一体何が違うかわかりますか?
  • 大きな違い?なんだろう??
  • ヒントは「著作権はいつか消えてしまう」ということです。
  • え!?著作権が消えるなんてことがあるんですか?
  • それがあるんです!では、この二つの曲にどんな違いがあるか、それぞれ考えてみましょう。
  • はい!
  • 先ほど、「著作権はいつか消えてしまう」と言いましたが、著作権には『著作権保護期間』という期間があります。
  • 保護ということは、権利が守られている期間のことですか?
  • そうです。その保護期間が切れると『パブリックドメイン(P.D.)』という「著作権がない著作物」になります。つまり誰でも自由に利用することができるようになるんです。
  • パブリックドメインなら聞いたことがあります。
  • たとえば、モーツァルトやベートーベンなど昔の作曲家が創ったクラシック曲の保護期間はすでに切れているので著作権はありません。
  • そうだったんですね!
  • ですので、アイちゃんが演奏する「クラシック曲」の保護期間が切れているのなら著作権の手続きをする必要はないということになります。
  • なるほど!私は手続きをしなくても演奏して大丈夫なんですね。
  • はい。しかし、サム君が演奏しようと考えている「流行りの曲」には著作権があると考えるのが普通でしょう。
  • どうしてですか?
  • お二人は著作権の保護期間はどのくらいの長さだと思いますか?
  • うーん……30年くらいですか?
  • 創った人が亡くなってから50年が過ぎたら著作権が消えてしまうんですね。
  • そうなんです。「流行りの曲」の作詞家・作曲家が亡くなって50年経っているとは考えにくいので、サムくんがバンド演奏をする際には著作権の手続きが必要ということになります。
  • なるほど!
  • さて、最初の問題「クラシック曲と流行りの曲の違い」はもう分かりましたよね?
  • はい!違いは著作権があるかないかですね!
  • その通り!大正解です!
  • ところで、手続きはどうやってすればいいんですか?
  • 結婚式場などでは、式場が事前に演奏権の手続きを行っていることが多いので別途個人で手続きをする必要はありません。
  • ということは式場が手続きを行っていれば、僕が手続きをする必要はないということですか?
  • そうです。しかし、会場によって運営方針は異なりますので事前に式場へ「演奏権の手続きが行われているか」について確認をしてみましょう!
  • わかりました!先生、今回もありがとうございました!

今回のまとめ

著作権がある曲を演奏する場合、演奏権の手続きが必要です。式場が手続きを行っていれば、個人で行う必要はありませんので、事前に「演奏権の手続きが行われているか」を確認しましょう!

※1 著作物の著作者や種類によって異なりますが、原則として、「著作物が創られたときに始まって、その著作物の著作者の死後50年間存続する」と決められています。(2017年3月現在)